夫or妻に浮気をされていた。浮気相手の妻or夫に浮気の事実を知らせたい。
夫or妻に浮気をされていた。浮気相手の妻or夫に浮気の事実を知らせたい。
「夫or妻に浮気相手と別れてもらうために、浮気相手の妻・夫にも協力して欲しい。」
「浮気相手の家庭がなんの影響も受けていないのが許せない。」
などの、理由で浮気相手の妻or夫に浮気の事実を知らせたい、という相談を受けることがよくあります。
しかし、多くの方は、それならば浮気の事実を知らせるのは辞めておこう、という結論で落ち着いています。
それは、浮気の事実を知らせることのデメリットがたくさんあり、メリットを大きく上回ってしまうからです。
夫婦関係を継続する場合
〇損得の問題
浮気相手の妻・夫が不倫の事実を知ってしまうと、あなたの夫or妻が慰謝料請求をされることになってしまいます。
夫婦関係を継続するということは、夫婦の財産から慰謝料を支払わなければならないということです。
仮に、浮気相手の夫婦が浮気の事実が発覚したことが原因で離婚に至った場合、こちらの夫婦の財産から支払うべき慰謝料の方が、こちらが浮気相手に請求できる慰謝料より高額となってしまう(損をしてしまう。)可能性もあります。
〇夫婦関係の修復を難しくさせてしまう問題
夫婦関係を修復する場合、浮気をした夫or妻は反省し大いに態度・考えを改めるべきではありますが、責め立てるばかりでは「修復」することは出来ません。子らのために「修復」することを選んだのであれば、表面的なものにとどまらない平和な家庭の実現を目指していただきたいと思います。浮気をした夫or妻から「相手の家庭には迷惑をかけたくない」という主張がなされることもよくあります。身勝手な話ではありますが、それが今後の平和な夫婦関係の実現のために必要なのであれば、聞いてあげる余地もあると思います。その代わりとして、夫or妻に対して、信用を回復するための要求(外出するときは必ず行き先を告げる、帰りが遅くなる時は必ず連絡を入れるなど)を求めることも考えられます。一番大事なことは、どうしたら平和な夫婦関係を取り戻せるか、ということですから、これに水を差すようなことは控えた方がよいと思いますが、すべてを我慢しなければいけないわけではありません。夫or妻が抵抗しても不倫相手への慰謝料請求をすることだけは、自分自身が今回の不倫事件に踏ん切りをつけるために必要だというケースもよくあります。このようなあなたのの気持ちを夫or妻に伝えても、夫or妻が「慰謝料請求するなら離婚だ」と主張するような場合には、離婚した方がよいかもしれませんね。平和な婚姻関係を取り戻せる可能性が低いものと思われます。
離婚する場合
〇損得の問題
①離婚する場合、あなたは、夫or妻から財産分与及び慰謝料としてまとまったお金をもらわなければなりません。
浮気相手の妻・夫が不倫の事実を知ってしまうと、あなたの夫or妻が慰謝料請求をされることになってしまいます。
仮に、浮気相手の夫婦が浮気の事実が発覚したことが原因で離婚に至った場合、不貞慰謝料として、300万円程度の支払いを求められる可能性もあります。
夫or妻の財産にも限りがありますので、あなたの取り分がなくなってしまうかもしれません。
②浮気相手への慰謝料請求をするにあたって浮気相手の妻or夫にばれていない状態の方が示談段階で高額な慰謝料で解決することが多いといえます。
家族にばらされたくなければ慰謝料を支払え、と脅さなくても、相手方バレないうちになるべく早期に解決を図ろうとしてきます。
浮気相手の家族が破綻しようと平穏なままであろうと、あなたの生活には何の影響もありません。そうであれば、少しでも早期に高額な慰謝料が支払われることの方が大事ではないでしょうか。
また、バラしてしまったことで本当に家庭が崩壊した場合、浮気相手の家庭に小さな子供がいたりすると、最初のうちは怒りで感じずにいられるのですが、落ち着いたころに、重い罪悪感を背負うことになると思います。
実際、私に相談にきたときには、バラしていない状態だったので、バラすべきではないというアドバイスをしたのですが、気持ちを抑えられずバラしてしまい、その後で離婚についての交渉を受けた案件がありました。1年近い離婚調停を経て、無事に終わったのですが、最後の調停の日に、「実は、先生に言われた通りバラさなければよかったと思っています。父親と一緒に暮らせなくなった自分の子どもの顔をみたときに、ふと相手の子どもの幸せを私が奪ってしまったような気持ちになることがあります。」と心情を吐露されたことがあります。私は、「そのときは、〇〇さんには、そうすることが必要だったんです。そう思いましょう。」と応えることしかできませんでした。
浮気相手の妻or夫に浮気の事実を知らせることは辞めておいた方がいいケースが多いのではないかと思います。
弁護士法人あい法律事務所 共同代表弁護士 山口恭平
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。