自分で慰謝料請求する際の注意事項とよくある失敗

配偶者が既婚者であることを知らなかったと言い逃れされてしまう、証拠が足りない状況で交渉を開始してしまい肉体関係はなかったと言い逃れされてしまう(交渉を開始した後では追加の証拠を獲得することは難しい)、慰謝料を払うお金がないと開き直られてしまう、というのがよくある失敗です。

たしかに、現状の証拠で戦わざるを得ず、結局、上記の理由で逃げられてしまう可能性もあります。しかし、もう少し慎重に準備をして、相手への反論を予想し、それへの対抗策を準備しておけば逃れられずに請求できるケースというのも存在します。

相手方から予想される反論としては以下のようなものが考えられます。各反論ごとに対応を考えておきましょう。

①不貞関係はないと否定される。

②既婚者であることを知らなかったと反論される。

③婚姻関係は破綻していると聞いていたと反論される。

④時効により消滅していると反論される。

⑤ない袖は振れない(お金がない以上払えない、ローンの支払があるから支払う余裕がない)と主張される。

 

①不貞関係はないと否定される。

不貞関係とは、性交渉または性交渉に類似する行為をする関係をいいます。

したがって、相手とは親しい関係にあったけれど、浮気や不倫はしていないという反論がありえます。

不貞相手の自宅への出入りの証拠があったとしても、それが日中の数時間程度だったりするとこのような反論を許してしまう危険があります。

また、誕生日プレゼントやバレンタインという理由でプレゼントをあげたりもらっていたりする証拠しかないような場合も不貞関係はないとの反論を許す危険があります。

上記のような証拠しかない状況にある場合、性的な関係があることを示す追加の証拠を獲得する必要があります。

これ以上の証拠は取れない、と思ったとしても慰謝料請求を始める前に弁護士に相談してみましょう。

意外なところから証拠が見つかるかもしれません。

 

 

②既婚者であることを知らなかったと反論される。

不貞慰謝料請求が認められるには、不貞相手があなたの配偶者が既婚者であることを知りながら不貞関係となっていることが必要です。

不貞相手が既婚者であることを知らない場合、相手方には違法なこと(不貞関係であること)の認識がないということになり責任を問うことが出来ません。

※あなたの配偶者には不貞相手が既婚者であることを知っていたかどうかにかかわらず不貞慰謝料請求をすることはできます。この場合、あなたの配偶者が単独で責任を負うことになります。

ただし、不貞相手に過失があった場合(=注意すれば既婚者であることに気づけたといえるような場合)には、慰謝料請求の責任を追及することができます。

あなたの配偶者と不貞相手が出会い系アプリなどで知り合っている場合、あなたの配偶者は独身であると偽って不貞相手と関係を構築している可能性が高いです。既婚者であることを知らなかったとの反論がなされる可能性が高いケースといえます。

このようなケースでは、あなたの配偶者が既婚者であることを打ち明けているLINE、既婚者であることを前提とした会話(今度の日曜日は子供の行事があるから会えないなど)、を証拠にしておく必要があります。

 

 

③婚姻関係は破綻していると聞いていたと反論される。

不貞関係が構築される以前から婚姻関係が破綻していた場合、不貞慰謝料請求を求めることはできません。

不貞関係によって夫婦関係が破壊された場合にその責任を問うのが不貞慰謝料請求の本質だからです。

あなたが配偶者と同居している場合には、このような反論がなされたとしても、このような反論は基本的には通りませんので、破綻していないと強く主張すれば足ります。

問題となるのは、単身赴任中や離婚調停中(別居中)に不貞関係が発覚したようなケースです。

離婚調停中に不貞関係が発覚した場合には、離婚調停前(別居前)から不貞関係にあったことを示す証拠を用意しておく必要があります。これがないと、婚姻関係破綻後に不貞関係になったという不貞相手の反論を許してしまう可能性が高くなってしまいます。

過去の証拠ということになるので証拠を獲得するのは容易ではありませんが、配偶者の日記などから証拠になるものがないか探さなければなりません。

単身赴任中の場合、実際には婚姻関係に問題がなかったとしても、不貞相手からみると一人で生活しているので婚姻関係が破綻しているから単身で生活しているように見えます(単身赴任のケースは独身だと思っていたという反論をされるケースも多いです)。

あなたの配偶者が不貞相手を信じさせるためにウソをついている場合、そのウソが信じてもしょうがないと思えるほど作りこまれたものであった場合、不貞相手に慰謝料請求をすることは難しくなります。

単身赴任のケースでは、配偶者に不貞相手にどのような説明をしているのかをしっかり確認しておく必要があります。

 

 

④時効により消滅していると反論される。

不貞相手への不貞慰謝料請求には3年という消滅時効があります。

そのため、不貞相手から「3年以上前に関係は終わっているから時効だ」と主張されるケースがあります。

しかし、この3年というのは、「被害者が損害及び加害者を知った時から3年間」という意味です。

したがって、3年以上前に関係が終わっていたとしても、何か不貞の証拠になるようなものを最近になって見つけて、不貞相手のことを知った場合には、まだ時効は完成していません。

このようなケースであれば慰謝料請求をあきらめる理由はないということになります。

 

 

⑤ない袖は振れない(お金がない以上払えない、ローンの支払があるから支払う余裕がない)と主張される。

たしかに、預貯金や車などの財産がなく、仕事もしていない、近いうちに仕事をはじめる見通しもない、というようなケースでは、どうしようもないといえるかもしれません。

支払ってもらえる見通しが立たないとしても判決を取得し、時効にならないよう注意しながら忍耐強くチャンスを待つという方法も考えられますが、精神的な負担をかなり重いだろうと思います。

しかし、ローンの支払いがあるから支払う余裕がないという反論は聞き入れることはありません。

不貞相手のローンの支払いが優先される理由はありませんので、そんなの関係ない、と主張することは可能ですし、判決を経て給料を差し押さえたりすることも可能です。ただし、あまり強引に進めるとローンも支払えないし「破産」されてまい、請求できなくなってしまいます。

長期戦になり、こちらも精神的な負担はかかりますが少しずつ回収していくことになります。

 

どのような反論がなされるか予想して、しっかり準備をしてから慰謝料請求をするようにしましょう。

 

弁護士法人あい法律事務所 共同代表弁護士 山口恭平

 

 

 

 

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慰謝料の解決事例

この記事の執筆者

弁護士山口恭平

あい法律事務所

弁護士

山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)

取扱分野

家事案件(離婚・男女問題、相続)

経歴

法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。