不倫相手の配偶者から、不倫関係を職場や家族にばらすと脅されています。どうすれば良いでしょうか?
職場にバラすと言われた場合
実際に行動に出る可能性は低いと考えられます。
なぜなら、相手方がこのような脅しをかけてくる目的は、示談を有利に進めようとしているからです。
脅しは、脅しとして利用するから意味があるのですから、実際に行動に移してしまっては脅しではなくなってしまいます。
ここで、注意しなければならないのは、相手方を逆上させてしまうことです。
逆上してしまうと、理性のコントロールがきかなくなり、相手方は本来の目的を忘れ、職場にバラしてしまうリスクが急激に髙まります。
脅しに屈しない心で、誠実な対応をしなければなりません。
誠実な対応というのは、相手方の言いなりになることではなく、適切な金額の慰謝料を支払うこと、可能な範囲で接触禁止などの約束に応じることです。
過剰な要求に応じたり、出来ないことを約束することではありません。
示談交渉中は、職場に押しかけられてしまう可能性が過ぎるなどして、なかなか精神的な負担が重いと思います。
そのため、早期に解決できた方がいいとは思いますが、どのような条件で示談するかは慎重に判断する必要があります。
相手方との交渉が難航し、なかなか示談に至らない可能性も考えられます。
示談に至らなかった場合、相手方は、慰謝料請求を進めるためには、裁判(又は調停)を提起するかどうかを検討することになります。
紛争の場が、裁判という場に移れば、職場にバラされてしまうリスクというのはより一層低下します。
なぜなら、相手方は裁判所の心証を良くしたいと考えますので、職場にバラすという場外乱闘のような行動に出ることは控えるようになるからです。
そのため、裁判になることは、職場にバラされるリスクというのはほとんどなくなったと思って安心できるタイミングになります。
職場にバラされる事態を避けるという点からいえば、裁判に持ち込むことは1つの解決になりますが、支払方法や慰謝料額を考えれば示談で終わらせた方がよいケースというのも多々存在します。
裁判になれば、解決までに、裁判が始まってから半年以上かかりますので、長期にわたって精神的な負担を抱えることになります。
職場にバラすと脅しをかけてくるような相手に慰謝料請求をされてしまう事態に陥ってしまった場合には、弁護士に依頼して対応をお任せしてしまうことをオススメいたします。
弁護士に依頼すべき理由①
依頼された弁護士は、相手方に弁護士がついたことを連絡します。
弁護士は、相手方に
- 今後は弁護士が窓口となるので本人には連絡してはならないこと
- 職場にバラした場合、名誉毀損(刑法230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。)を理由に警察に被害届を提出せざるを得ないこと
- 裁判例を基礎とした適正な慰謝料額についての当方の見解
を伝えます。
相手方は、弁護士がついたことで、職場にバラすという脅しが効かなくなったことを理解しやすくなります。
また、実際に職場にバラしてしまった場合のリスクを理解させ、行動に出てしまうことにブレーキをかけることができます。
弁護士に依頼すべき理由②
当事者同士で交渉をする場合、相手方は被害者であり、あなた自身は加害者ということになります。
そうなると、被害者側の心情としては、加害者に意見を述べる権利はない、考えたくなってしまいます。
あなた自身も意見を述べることに躊躇してしまうかもしれません。
弁護士という当事者ではない人間が交渉をすることにより、相手も感情を抑えやすくなり、客観的な妥当性を重視した解決を目指すことが出来ます。
弁護士に依頼すべき理由③
職場にきてしまったらどうしよう、裁判になってしまったらどうしよう、という不安を和らげることができます。
弁護士が防波堤となりますので、普段の生活・仕事を取り戻すことができます。
職場をバラすとい脅してくるような相手だった場合には、早めに弁護士に依頼した方がよいと思います。
家族にバラすと言われた場合
職場にバラされてしまうケースというのは、実際にはほとんどありませんが、(依頼を受ける前の時点で)家族にバラされてしまっているケースというのは一定数存在します。
しかし、家族にバラされてしまっているケースというのは、家族にバラすという脅しを受ける前に、自宅に突撃されてしまっていたり、家族宛の手紙でバラされてしまったりしています。
職場にバラすことと比べると、被害者である家族に真実を伝えてあげるんだ、というある種の正しいことをしているんだという意識があるために、行動に移しやすいのだろうと思います。
また、夫婦間で話しをしたけれど別れてくれないという状態に追い込まれると、別れさせるために相手の配偶者に協力を求めたいという目的のもとにバラすケースもあります。
不意打ちのケースでは、対処のしようがないですが、家族にバラすという脅しをかけてくるケースについては、適切に対処することで、バラされてしまうことを防止することが出来ます。
家族にバラすという脅しをかけてくるということは、その目的は、職場をバラすと脅してきたときと同じように、示談を有利に進めることにあります。
そうであれば、相手を逆上させることのないよう配慮しながら、脅しに屈することなく誠実な対応をするという方針をとることになります。
ここで、仮に相手方夫婦が離婚せずに婚姻関係を継続する場合、家族にバラすという行動を起こしてしまう可能性はかなり低くなります。
なぜなら、この場合、あなたの配偶者から相手方の配偶者への慰謝料請求も成立しますので、相手方夫婦は慰謝料を取れるけど取られる、という事態に陥ってしまいます。
通常、このような事態にわざわざ進む人はいませんので、家族にバラすという脅しの実現可能性は極めて低いと判断できます。
【参照】夫or妻に浮気をされていた。浮気相手の妻or夫に浮気の事実を知らせたい。
家族にバラすと脅しをかけてくるケースでも弁護士を入れた方がいい理由は、職場にバラすと脅しをかけてくるケースと共通します。
相手方が脅しをかけてくる相手だった場合には、早めに弁護士に依頼することをオススメいたします。
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。